リヒテルと大阪万博

※以下は、拙著旧ブログのテクスト再録([Kotto Blog]2010年12月25日付「リヒテルと大阪万博」より)。

 大晦日というとすぐにベートーヴェンの第九を想起しますが、どちらかというとドビュッシーやリストなどの室内楽の方を好んでいるので、ベートーヴェンにはあまり食指が動きません。

 初めてレコードを聴いた幼年の頃には、既に『原色学習図解百科』(学研・1968年初版)の付録にあったクラシック音楽のレコードセットで第九の“合唱”を聴きましたが、同じレコードセットの中の室内楽を選んで針を落とす方が多かったのです。しかし小学校に入って、クラシック好きな“ジュンコ”ちゃんという女の子の薦めで、第九のカセットテープを買いました。グラモフォンのレーベルだったと思うのですが、それ以来、何十年と第九とは縁がありません。

 年の瀬に聴いてみたくなって買い求めたのは、スヴァトスラフ・リヒテルのチャイコフスキー『ピアノ協奏曲第1番』です。

 さて、個人的に来年こそは大阪万博の跡地を訪れたいと思っているのですが、1970年の大阪万博の時、彼はフェスティバルホールでピアノ演奏会を行っています。

 フェスティバルホールは大阪万博の特設会場ではなく、北区中之島の地下鉄四つ橋線・肥後橋駅に程近い所にあります。当時、万博の期間中に伴って、世界から著名の指揮者や演奏者、楽団が大阪に訪れていたようです。

 例に挙げると、4月はシャルル・デュトワが、5月はマルセル・マルソーやカラヤン率いるベルリン・フィル、カナダ国立バレエ団によるプロコフィエフ『ロメオとジュリエット』の演奏が、6月は小澤征爾による日本フィル、ローマ室内歌劇団、モントリオール交響楽団、7月はレニングラードフィル、8月はボリショイオペラにニューヨークフィル、そして9月はリヒテルの他、レイモンド・レパード指揮のイギリス室内管弦楽団…。

 『日本万国博覧会公式ガイド』で「フェスティバルホール催し物」が紹介されており、9月3日と5日に初来日したリヒテルの演奏会がありました。ただしこの紹介頁では、リヒテル・ピアノ演奏会の演目が記されてありません。

 そこでサイト[EXPO'70]で調べてみると、リヒテルのその時の演目がわかりました。

●シューベルト「ピアノソナタ ハ短調」
●バルトーク「15のハンガリー農民歌」
●シマノフスキ「仮面劇」
●プロコフィエフ「ピアノソナタ第7番」
●プロコフィエフ「風景」「円舞曲」
●ドビュッシー「映像」第2集(「葉ずえを渡る鐘」)

 もはやその時の演奏を想像することもできませんが、どれほど素晴らしい演奏だったか、それを考えると当時実際に足を運んだ方々は、まったく羨ましい限りです。

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