2015年マッカートニー再来

開場数時間前の東京ドーム
 1990年のマッカートニーのワールド・ツアーで、東芝EMIが発行した国内広報宣伝用の小冊子(当ブログ「ポール・マッカートニー~サウンドの啓示」参照)が懐かしい。
 その時以来ずっと手元に置いているこの小冊子が、最近凄まじく擦れて擦れて、裏表紙が完全に剥離してしまったのを見て、私は思わず苦笑いした。しかし捨てるわけにはいかない。
 思い出の詰まったマッカートニーの1990年小冊子は、当時まだ高校生だった私にとって最良の資料だったわけだが、その資料的役割においては、ここで一応終えたのだな、ということをなんとなく感じた。月日の流れが早い。

 つい先週、ブログでニューヨーク・シティ・バレエ団の古い公演のことを書いた(「『洋酒天国』とニューヨークのバレエ団」参照)。それに関連して、マッカートニーの、2011年に出されたアルバム『Paul McCartney's Ocean's Kingdom』を、私は今東京ドーム公演前に聴こうと思いつつ、結果的にそれがまだ実行されていないのも、“マッカートニー譲り”(?)の楽観主義者的思考があるからだろう。
 このアルバムはマッカートニーがニューヨーク・シティ・バレエ団のために書き下ろした曲を、ジョン・ウィルソン指揮ロンドン・クラシカル・オーケストラが演奏した4楽章の作品集である。

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グッズ売り場の長蛇の列
 夏日となった去る27日、ポール・マッカートニー「OUT THERE JAPAN TOUR 2015」の東京ドーム公演に足を運んだ。一昨年に続く2度目の東京ドームである。

 あの時以来のポールは、やはり元気であった。もはや“ポール語”とも思える彼の“流暢な”日本語も、随分と慣れてきたせいかメリハリがきいて、観客との頓知芸の域に達した感がある。面白い。
 そんなポールの、ショウを堪能する――。前回は「Eight Days A Week」(当ブログ「かまちの青春とBEATLES」参照)に感動した私は今回、単純に「New」やホワイト・アルバムあたりの曲(「Ob-La-Di, Ob-La-Da」や「Helter Skelter」)に感動した。それはもう理屈ではない身体の感触の興奮だ。

 案の定、湿度が最高潮に達した熱気十分のショウを観終え、ドームを出て夜の本郷1丁目の交差点を渡る時、自然に「Another Day」やら「Hey Jude」を口ずさみたくなったわけだが、何故か「Listen To What The Man Said」のフレーズがひょこっと浮かんできた。あれ?今回のショウで歌ったかしら? ともう頭の中で混乱してお祭り騒ぎになるのである。

ポール様、またどこかで会いましょう!
 “現在”のポールが過去の曲を歌う――というのはまさしく“現在”のポールを如実に示していることだ。エクセレント。屁理屈でもなんでもない、過去のポールの幻影やら絵空事でもない正真正銘の事実。
 マッカートニーらしさというのはそのあたりにある。レトロな、歴史の中のマッカートニーではなくて、今の、“現在”のロックでポップなポール・マッカートニーがそうさせている。世界中を動き回っているポール。我々ファンがそれに向き合えるのは、本当に幸せなことだ。

 生きていて幸せなことを、軽くなにげに、皆で楽しく語り合えるのが、ポール・マッカートニーのショウの極みであろうか。まだまだ余韻が続く。♪ Listen To What The Man Said ♪――。

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