幻の性訓書のこと

【「性書・性文献の読み方 女のテッペンから爪先まで」】 鈴木清順監督の映画、“(大正)浪漫三部作”と称された『ツィゴイネルワイゼン』『陽炎座』 『夢二』 を心から堪能するべく、セクシュアルな教養を身につけるため、方々から連関した知識を掻き集めている次第である。 第1弾でお伝えした 「性のクロスワードパズル」 を開発した梅田晴夫氏の名著『ひまつぶしの本 無我夢中に楽しむ法』(KKベストセラーズ/1974年初版)には、もう一つ、とくに刮目しておきたい知識がその古書の中に温存されたままになっていたので、これについて掘り起こしてみたい。ただし、今回は少々短めにまとめることにする。 ⚥島津家の性訓書? 『ひまつぶしの本 無我夢中に楽しむ法』に、多少露骨なタイトルながら、「性的人間の愉しみ●SEX短小事典」という章がある。 その副題が、「性書・性文献の読み方 女のテッペンから爪先まで」となっていて、性関連の古典的な文献から、エッセンシャルなテクストやキーワードをピックアップしたページとなっていて、これはまことに興味深い。私自身、“性書”と聞いて第一に思い出すのが、古代インドの“カーマスートラ”(愛欲の経典)の文献である。が、第一に思い出す反面、中味についてはほとんど詳しく知らない。古今東西の厖大な“性書”に関して、一般人の教養や知識は残念ながら、全く追いついていないものなのではないだろうか。 梅田氏は、こんなことを述べている。 《性及び性器》 に関心を持つことは、 《わが国では今日依然としてそれはタブーであり、それを公然とすることは禁じられてもいるし、また一般に躊躇されているのが現状である》 。冒頭でわざわざこんな断りを入れるくらいに、日本人の性に対する知識は追いついていないのが現状で、初版が出た昭和49年当時において、今よりもはるかにそれは恥ずかしいもの、タブーであるという風潮があったと考えられる。 さらに、こうも述べている。 ――ローマのヴァチカン図書館には25,000冊にのぼる性文献があり、プリントも100,000種所蔵されている。英国の大英図書館には20,000冊。キンゼイ報告で知られるアメリカのインディアナ大学の性研究所には、15,000冊の文献が蒐集されている――。 この梅田氏の説明における具体的な数字は、いったいどこで調べ上げられたのであろうか
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