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1月, 2021の投稿を表示しています

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消えゆく写真

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【FUJIFILM X-T3で試し撮り。被写体はLEICA IIIc】  元日の午後、手持ちのカメラ(FUJIFILM X-T3、レンズはFUJINON XF18-55mm F2.8-4.0 R LM OIS)でアンティークと化したLEICA IIIc(レンズはCanon SERENAR 50mm F1.9)を被写体に試し撮りをおこなった。ここ数日間続いた日本海側の寒波の煽りで、関東地方は異常なほど冷え込み、ただただ日光が神々しく、温かく、優しさをも醸し出しているかのようで、直接光と間接光に包まれたアンティークの被写体は何か、その機械的な佇まいの中に、微睡んでいるようにも見えた。  しかし一方で、いずれ消えゆくかも知れないアンティークの宿命の儚さもまた、写真という風雅の物悲しさを表している。《所有》とは、実に悲しげな行為なのである。ともあれ、個人的なクラシック・カメラの思い出は尽きることがない。私の記憶は、およそ20年前のウェブへといざなわれる――。 ➤写真とカメラを教示したmas氏  20年前のインターネットがきわめて遠い事象となりつつある、コロナ禍を経た時代の流れ。世相流行の移ろいはともかく、社会生活全般の隔世を感じるのは、私だけであろうか。今こうしてブログに文章を書いていることも、自身のウェブサイトをいくつか構築し、音楽や映像や写真などのポートフォリオを細々と展開しているのも、およそ20年前より私淑していた、mas氏のウェブサイトをお手本にしたものなのである。インターネットとのかかわり方、その作法や流儀について、詫び寂の何たるかまでも教示されたように思える。  20年前、彼に倣ってクラシック・カメラ遍歴(別の鋭い言い方では「クラシック・カメラ・ウイルス」とも言う)にどっぷりと浸かり、写真とカメラによる悦楽の日々を送っていたあの頃が、ひどく懐かしい。  mas氏に関しては、昨年の 「思い出のmas氏―池袋のお馬さん」 やそれ以前に多くテクストを書き連ねているので、ここでは詳しく書かない。  今はネット上に現存していない、彼の旧ウェブサイト[mas camera classica]では、洒脱な文章でカメラや写真についてとくと語られていて、その内容に私も感心したのだった。一部をコピーしてテクストファイルとして記録していたのもとうに忘れ、それをPCのハードディスク内か

恐怖の心霊写真ふたたび

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【静岡県掛川市の大庭さんの写真。昭和49年撮影】  いま、私自身の個人的な創作活動の中で、モチーフの一つとして、“オカルト”的な要素を必要とした経緯があり、その方面の文献資料をむさぼり読んでいる。そもそも“オカルト”(occult)とはどういう意味だろうか。辞書を引くと、こうある。 《神秘的・超自然的な現象。念力・テレパシー・心霊術など》 (『明鏡国語辞典』第二版)。 わかりやすい言葉で簡潔に述べれば、「超常現象」のことである。  さらに付け加えて書いておくと、私が主に調べているのは、ヨーロッパの古代ケルト人のことだったりする。ケルト人の一派(Gallia)のその社会的体制においては、ドルイド(Druid)という知識層の特権階級があり、その祭司と、ウァテス(Wotes)というその下位集団にあたる自然科学・天文学をもとにした占い師の政治的関係から、現代にまで知られているような“オカルト”――神秘主義や「超常現象」――の皮相の因果は、この古代ケルトに遡ると仮説を立ててみることができ、たいへん関心の度合いが熱を帯びてきて面白いのである。  そうした史学的な背景を踏まえたうえで、「超常現象」の一つであろう心霊現象、そのうちの顕著な肉眼的表象ともなる媒体=心霊写真というものに今一度、関心を寄せてみようと思う。敢えて先に申し上げるとするならば、「超常現象」の媒体というものは、常に政治的な様相をはらんでいる――ということだ。 § 【中岡俊哉編著『続 恐怖の心霊写真集』(二見書房・サラブレッド・ブックス)】  こうした「超常現象」(一般的には“怪奇現象”という言い方もできる)の研究の分野における戦後日本で、能動的な活動を促し、かつメディアに度々出没して一世を風靡した方々が幾人かおられることは、承知の通りである。中でも特に有名なのは、心霊現象や超能力研究家として知られる中岡俊哉先生である。テレビで拝見してきた中岡先生の、黒縁の眼鏡はたいへん印象的だ。中岡先生は、あらゆるメディアを通じ、一般の視聴者などから送られてくる、心霊現象をとらえた写真=心霊写真の鑑定を続けてきた。かつて、テレビや雑誌などで、そうした心霊写真の“鑑定モノ”の特集番組や記事が度々組まれ、人気を博したわけである。  私の少年時代の愛読書であった中岡先生の代表的な出版本『続 恐怖の心霊写真集』(二見書房・サラブレッド・

ライオンミルクさんのフォンドボー

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【Lionmilkのアルバム『Depths Of Madness』】  2度目の緊急事態宣言下の定点観測――。ウイルス感染拡大防止の重大局面として、切迫したただならぬ様相とは言えども、既に政治は愚鈍化(政治家が愚鈍化)し、地球全体が愚鈍と化してしまっている。おおよそ、人間の知的な感覚(=知性)の後退期とも思えなくもない。社会は度重なる抵抗と服従による災厄の、右往左往の日々が続いている。言うまでもなく、コロナ禍である。人々の先々の展望は、10メートル先の針穴を見るようにとらえづらい。  ところで私が最近、聴き始めてから意識的に“定着”してしまっている海外の音楽がある。モキチ・カワグチさんのLionmilk(ライオンミルク)名義のアルバム『Depths Of Madness』(ringsレーベル/Paxico Records/2018年)である。モキチ・カワグチさんは、アメリカ・ロサンゼルス出身の日系アメリカ人ビートメイカーで、アルバム自体は、自由気ままな、少々ゆったりとした、エレクトロ系の人工的な解釈によるジャズとフュージョンの、言わば“fond de veau”(フォンドボー)のようなサウンドである。これを私は毎夜聴くことにより、多少なりとも、不穏な日々の精神安定剤となり得ている。 §  彼と彼の音楽について、ringsレーベルのプロデューサーの原雅明氏による短い解説にはこうある。 《ロサンゼルス生まれの日本人キーボード奏者モキチ・カワグチは、ニューヨークの名門ニュースクール大学でジャズ・ピアノを学び、Lionmilk名義ではシンガーソングライターでありビートメイカーでありマルチ奏者でもある多彩な顔を見せる。この才能豊かな24歳の音楽、本当に要注目です》 (『Depths Of Madness』ライナーノーツより引用) 【月刊誌『Sound & Recording Magazine』2019年12月号より】  月刊誌『Sound & Recording Magazine』(リットーミュージック)2019年12月号には、ロスのウェストレイク・ヴィレッジにある彼のプライベート・スタジオでのインタビュー記事が掲載されていた。  私はそれを読んで知ったのだけれど、彼の所有するエキセントリックなローファイ機材(ヴィンテージのエレピ、チープなリズムマシン、宅録用

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